理学療法について
理学療法とは
理学療法とは病気、けが、高齢、障害などによって運動機能が低下した状態にある人々に対し、運動機能の維持・改善を目的に運動、温熱、電気、水、光線などの物理的手段を用いて行われる治療法です。
「理学療法士及び作業療法士法」第2条には「身体に障害のある者に対し、主としてその基本的動作能力の回復を図るため、治療体操その他の運動を行なわせ、及び電気刺激、マッサージ、温熱その他の物理的手段を加えることをいう」と定義されています。
対象となる疾患
- 中枢神経疾患
- 脳梗塞、くも膜下出血、頭部の外傷、パーキンソン病、小児発達障害、脳性麻痺など
- 運動器(体の運動に関わる骨や筋肉、関節や神経などの総称)の疾患
- 手足や脊椎の骨折、リウマチや腰痛、四肢の切断など
- 呼吸器疾患
- 肺炎や喘息、全身麻酔下の術後の肺機能低下など
- 心疾患
- 心筋梗塞や狭心症など
- 内科的疾患、体力低下
- 術後の体力低下、糖尿病、近い将来運動機能の低下が予想される高齢の人
- 精神疾患
- うつ病や統合失調症などの精神疾患に身体疾患を併発したり、活動量が低下したために体の機能が低下している人など
対象となる期間
- 急性期
怪我や手術、疾患の発症などの直後で病状が不安定であり、緊急に対処が必要な症状の治療を受けている期間。症状に配慮しながら、状態改善に向けた理学療法を実施します。
- 回復期
症状が安定し、体の機能回復のために理学療法を集中的に行うことが推奨される期間。入院中のことも多い。回復期病棟では多くの時間を使い、集中的に理学療法を実施します。
- 維持期(生活期)
一連の治療が終わり、自宅など元の生活環境に戻って療養したり、生活に適応していく期間。日常生活動作が低下しないよう、アドバイスやエクササイズを提供して機能維持ができるようにしていきます。
- 終末期
高齢、病気、障がいによって症状の改善が困難で、余命が少ない時期。この期間でその人らしく最期を全うするためのリハビリテーションを行っていきます。
理学療法の方法
- 運動療法
- 関節の動きや筋力の改善を目的とし、器具や理学療法士の手などを用いて、理学療法対象者の体を動かしたり、理学療法の対象者自らが体を動かしたりして治療する方法です。身体に対し適切な運動をすることで、効率的な身体の動き方を学習することを目的としています。
- 物理療法
- 体の外部から「温める」「冷やす」「電気刺激を加える」「振動させる」などの物理的な刺激を与えて治療する方法で、主に患部の痛みを和らげたり、血行を促すことを目的としています。マッサージや、ホットパックなどを用いた「温熱療法」、治療器を用いて電流を体に流す「電気療法」などの方法があります。
理学療法士とは
理学療法士は、“身体づくり” と“生活動作” の専門家です。
ケガや病気などで身体に障がいのある人に対して、ケガや病気の回復を促し、起きる、立つ、歩くなどの基本となる動作の改善や維持を目指し、社会や日常生活に戻るまでを支援する役割を担います。
関節可動域の拡大、筋力強化、麻痺の回復、痛みの軽減など運動機能に直接働きかける治療法から、動作練習、歩行練習などの能力向上を目指す治療法まで、動作改善に必要な技術を用いて、日常生活の自立を目指します。